第2回 コシアキトンボ

トンボ科 コシアキトンボ属 【コシアキトンボ】

北海道以外、全国に普遍的に分布しているトンボ。山間部には少ない。
腹の第3節~4節部分が白く、一見「腰の部分が空いている」ように見えることから「腰空きトンボ」と言う。戦中・戦前には、ハチマキしているようなことから「兵隊トンボ」などと呼んだこともあったようだ。
成熟した♂は縄張り意識が強く、日中はほとんど止まらず縄張り内を飛び続けている。♀が縄張り内に侵入するとすかさず交尾。♀単体で産卵しその間♂は上空で警戒飛行する。交尾は比較的短い。
黒浜沼では、5月下旬から9月中旬まで見られ、上沼の周囲や水辺から遠い林付近でも♂の縄張り飛行をみることが出来る。
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2011/07/23 NikonD300 Micro200mmF4D ISO400 1/500-f8
♂ 上沼流水路 上の♂が縄張っていたエリアに下の♂が進入、追いかけっこが始まった。
♂の縄張り意識はかなり高く、侵入者がシオカラトンボや他のトンボでも「ここは俺の縄張りだっ!」と言わんばかりに追いかけ回す。

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2009/06/14 NikonD300 Macro180mm ISO400  1/400-f4.5
♀ 羽化直後 上沼西岸(弁天下)
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2015/06/07 NikonD700 Micro200mm ISO500 1/160-f9
♂羽化直後 上沼取水路付近
♂・♀ともに羽化直後の帯は黄色をしている。♀は成熟しても黄色のままだが、♂は白色となる。♂が黒褐色で黒味が強いのに対して、♀は黒茶褐色。


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2011/06/19 NikonD300 Micro200mm ISO400 1/640-f9
♀ 産卵 上沼流水路
交尾後、直ぐに産卵行動に入る。♀は直立立ちして打水産卵。その間♂が上空で警戒飛行することが多い。卵は産卵後数日で孵化し、ヤゴで越冬し初夏羽化する。

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2009/06/07 NikonD300 Macro180mm ISO640 1/200-f5.5
♂ 成熟 上沼流水路
飛行して縄張り行動をとることが多い♂だが、ときおり縄張り内の木々にとまって休憩する。また、狭い縄張りを主張するような個体は、飛び回ることをせずに、こうして縄張り内に垂れた草木にとまったまま、♀が現れるのを待つ個体もいる。
比較的汚染に強いと思われ、平地などの少し汚れた河川・湖沼にも生息している。

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2015/07/11 NikonD700  Micro200mmF4D ISO800 1/1000-f9
♂ 成熟 上沼弁天下
夏も盛りになると水辺の近くの木立の下や、水辺から遠い木立の下などで、ぐるぐると円を描いて飛んでいることが多くなる。時折ホバリングもする。