第1回 「アキアカネ」

トンボ科 アカネ属 【アキアカネ】

赤とんぼと言うと、アキアカネを指して呼ぶことが普通。日本全国どこにでも生息しており、昔から日本人に一番なじみの深いトンボ。
夏のはじめ6月下旬から7月上旬に羽化し、夏の暑い間は、山間部に渡って避暑し大きくたくましく成長して、秋最高気温が30℃を下回るようになると、羽化した平地に戻ってくる。戻ってくる際には、♂♀が連結体になり集団で秋の空を舞い、稲刈りが終わった水田で多数の産卵風景を目にすることが出来る。
黒浜沼周辺で羽化した個体は、秩父地方の山間部で避暑していると言われ、秋の台風の西側の風に乗って帰るとされている。黒浜沼周辺では、6月下旬の羽化後、1週間ぐらい近辺で過ごした後に、9月中旬(お彼岸頃)に戻ってきて11月末ごろまで確認できる。フランクパパの記録では12月8日。地域によっては、年越し個体も目撃されているが、黒浜沼では未確認。
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2011/09/17 NikonD300 Micro200mmF4D ISO400 1/160ーF16
♂ 成熟  上沼西岸 弁天下付近

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2009/06/23 NikonD300 Macro150mm ISO200 1/640-F3.2
♀ 羽化直後 上沼北西水田(弁天北通り北側) 

黒浜沼の周辺には水田が多数あるが、どの水田でもアキアカネの羽化が見られるわけではない。上記画像の北西水田では、毎年多数の羽化を目撃できたが、現在は休耕田(ヨシ原)となってしまった。上沼南側には現在も水田があるが、乾田化がすすんでおりアキアカネの成長には適さない。現在(2015年)では、下沼西側の水田がもっとも羽化の多いエリアである。

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2010/10/17 NikonD300 Micro200mmF4D ISO200 1/400-F7.1
♀ 成熟 ホタルの里
♀には、腹が赤く成熟する個体と褐色化する個体とがいる(下産卵画像参照)。赤くなる個体は下面の白色化とのバランスが綺麗だ。


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2011/10/20 NikonD300 Micro200mmF4D ISO400 1/320-f9
連結体 産卵 (♀は褐色化個体と赤色化個体)溜堤通り南側水田
アキアカネは、アカネ属の他のトンボ同様に連結体での産卵をする。長年人間と関わりが深く生活してきた影響で、稲刈りが終わった水田を好んで産卵する。
産卵された卵は水田の湿った部分で孵化せずに冬を越し、田植え時に水がはいると孵化してヤゴとなる。(完全乾田化されるとアキアカネは生育しずらい)

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2015/10/10 NikonD700 MICRO200mm ISO800 1/1000-F6.3
♂成熟 ホタルの里 
他のトンボと同様に飛翔能力が高いが、どちらかと言うと竿の先や枝にとまっていることを好む。秋も深まると♂は秋空を舞って、地上付近にとまっている♀を探す。その際にホバリング飛翔を行うことが多く、飛翔撮影はしやすい。